目次
アフリカの定義と、その地理的特徴と、気候・風土
アフリカの定義
アフリカとは、広義にはアフリカ大陸とその周辺の島嶼(とうしょ)(マダガスカル島など)や海域を含む地域の総称です。また、狭義には、サハラ砂漠より南のアフリカ(Sub-Saharan Africa、サブ・サハラ・アフリカ)を指します。狭義の場合は、以下の北アフリカの国々を除いたアフリカ大陸の国々が、「アフリカ」とされます。
北アフリカの国々
エジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、西サハラ
の国々が、「北アフリカ」と定義されます。
(これらに加え、国際連合では、エジプトの南に「スーダン」も北アフリカに含めています)
ここでは、「中東のハーブ」において「中東」に含めた「エジプト」のみを除外した、広義の“アフリカ”と、そのハーブについて述べていきます。
アフリカの地理的特徴
アフリカ大陸
アフリカ大陸は、北は地中海、西は大西洋、東はインド洋および紅海、南端のアガラス岬では大西洋とインド洋に面した大陸です。
南北約8,000km、東西約7,400kmで、海岸線は総延長26,000kmで、南半球に広がっている大陸としては、世界で最大の大陸です。
その面積は、大陸本土と周辺の島嶼(とうしょ)部も合わせると30,368,609km2にもなります。
かつてはスエズ地峡によりユーラシア大陸とつながっていましたが、現在ではスエズ運河が開通して土地としては分断されたため、この運河をアフリカとアジアの境界と認識される場合もあります。
アフリカ大陸の地理的特長は、平均の海抜が約600mで、海抜が極端に高い地域も低い地域も稀であることです。全体的に見れば、高台地と低台地の2つに分類できます。
アフリカ大陸の各地域の地理・風土と、その特徴
アフリカ大陸の地理・風土を大きく分類すると、以下の4つに分けることができます。
- 大陸北部:非常に乾燥したサハラ砂漠。
高温砂漠気候。北緯20~30度の亜熱帯高圧帯にあり、一年中、雨が降りません。また、冬の最低気温は氷点下にまで下がるときもあります。海洋の影響を受けない地域が広いため、昼夜の気温差が大きくなります。
砂漠のため植物はほとんど育ちませんが、オアシスなど水辺では、群生している植物もあります。 - 赤道付近:広大な熱帯雨林が広がる。
赤道付近の熱帯雨林気候は、高温・多雨の気候。年間を通して26~28℃の気温で、年間の気温差は小さく、1日の気温差が大きいのが特徴です。年間雨量2000mmと雨は多く、毎日スコールが降ります。
熱帯雨林の植物の7割が樹木です。樹木の背丈の違いで、3~5層の構造をしており、飛び抜けて高い樹木の層から存在します。樹木の種類も非常に多いのが特徴です。 - 大陸南側:乾燥しており、サバンナと砂漠が広がる。
サバンナは熱帯気候のひとつで、雨季と乾季がはっきり分かれていることが特徴です。
乾季には樹木は落葉し、草原も枯れます。植生は、疎林とイネ科の植物が育つ草原です。日照時間が長いため土壌は肥沃で、コーヒー、サトウキビ、綿花などが栽培されています。 - 大陸東部:
南北に大地溝帯があり大陸を東西に引き裂いている。地溝帯はビクトリア湖などを経て一年に数cm単位で東西に分裂していっている。(アラビア半島やマダガスカル島もかつては大陸と一体であったが、この地溝帯によって分裂した。)
アフリカ大陸東部は1000万年前以降、気候の変動により森林が徐々に乾燥した草原に変わってきました。また、インド洋から吹き付ける湿った空気は、大陸東部の大地溝帯周囲の東側の高原地帯によって遮られ雨となるため、その西側へは乾燥した風を運ぶことになります。こうして、降雨量が少なくなり森林は乾燥し、サバンナとなっていきました。
こうした大陸東部の植生は、まず山岳森林地帯では、ヤシ、広葉樹、針葉樹が見られます。湿潤サバンナ林帯の山地には独自の植生が見られます。また、アフリカ東部の乾燥林には、ジュニパレスが、さらに広い範囲には樹木のナギが分布しています。
地溝の山林の高山湿地には、ジャイアントセネシオ、ジャイアントロベリア、ボグなどが生息しています。さらに標高の下方には、ジャイアントヒースが広がっています。
高地では、草原地帯と湿地帯の生態系があり、豊富なハーブ層が広がっています。標高の高い場所の常緑低木群落には、ヒースが覆っています。
特異な植物相を持つ島嶼(とうしょ)部=マダガスカル
アフリカのほとんどの島はとても小さい一方、地理的に「アフリカ」に含まれるマダガスカル島は、その植物相にとても特異な性質を持っています。植物だけでなく動物相においても、アフリカよりもむしろアジアに近い相だとも言われています。
*注)マダガスカル:アフリカ大陸の南東海岸沖、モザンビーク海峡を隔てて400kmの距離にある島。島と言うには大きいことから、「大陸島」とも呼ばれる。
アフリカの気候
広大なアフリカ大陸だけに、その気候は多様です。
まず、赤道直下に高温多湿な熱帯雨林が位置し、その南北に向かってサバンナが広がり、さらに赤道から離れると乾燥化していき、北はサハラ砂漠、南はカラハリ砂漠と、砂漠が広がります。
アフリカ大陸は、北から順に、次のような地帯が分布していきます。
- サハラ砂漠:世界最大の砂漠。
- サヘル(Sahel):サハラ砂漠の南に接する帯状の半砂漠。
- サバンナ:サヘルの南に広がる熱帯・亜熱帯の草原地帯。(Guinean forest-savanna mosaic、Northern Congolian forest-savanna mosaic、East Sudanian savanna など)
- アフリカの角(Horn of Africa):北東部の半砂漠。ソマリア全域とエチオピアの一部などを占める半島。
- 熱帯雨林:赤道直下(東アフリカを除く)に広がる。
- セレンゲティ(Serengeti):東アフリカ、ケニア・タンザニアの草原地帯。または、この地にあるセレンゲティ国立公園を指し、世界で最も有名な野生生物保護区。
- ミオンボ林(Miombo):東アフリカ、モザンビーク・マラウィの熱帯・亜熱帯林。
- カラハリ砂漠(Kalahari)
- ブッシュベルト(Bushveld):南アフリカ共和国・ボツワナ・ジンバブエの草原地帯。
- カルー(Karoo):南アフリカ共和国南西部の半砂漠。
また、アフリカの植生においては、その季節における変動があるのが、2月と8月です。
こうしたアフリカの地理や気候の影響による植生や、アフリカのハーブを、次にご紹介していきます。