近代の定義
近代は、近世に続き、現代の前に位置する時代と定義され、現代社会の形の基礎が成立してきた時代とされています。
具体的には、ヨーロッパでは18世紀後半頃より始まる、主権国家の成立、市民革命による市民社会の成立、産業革命による資本主義の成立、ナポレオン戦争による国民国家の形成などとされています。
18世紀末期から19世紀前半を近代が本格的な始まりとされますが、その契機となるものとしてフランス革命(1789年)が挙げられます。
ヨーロッパのこうした動きはヨーロッパ以外の国々にも伝わり、世界中の国々が主権国家として成立していき、現在の国際社会が出来上がってきました。こうした動きを「近代化」と呼びます。
また、ヨーロッパ以外の国々から見てみると、ヨーロッパ各国の世界への進出により、それ以前の社会のあり方が転換されたとも言えるでしょう。
近世と近代を分ける考え方としては、封建主義の時代を「近世」、資本主義の時代を「近代」とする捉え方もあります。この捕らえ方より、アジアでは、第二次世界大戦終結(1945年)の前を「近代」、その後を「現代」とする捉え方もあります。
(以上、「近代」の定義:wikipedia 参照)
近代におけるハーブ:概要
こうした時代に、ハーブの世界にはどのような変化が起きたのでしょうか?
近代の定義で述べたように、「現代社会の基礎が成立した時代」が近代のひとつの特徴とすると、ハーブと医療においても同じ様相がうかがえます。
近代、ハーブを取り巻く大きな出来事としては、医薬品と医療の分野に起きた大きな変化が挙げられます。
現代医療の基礎として定着している薬学や”アロパシー”(逆療法/対処療法)の考え方が急速に発達し、全世界のほぼすべての地域へ急速に近代医学が広げられていったことは、それまで自然療法が主であった医療において”薬”として利用されていたハーブの位置にも、変化が生じることとなりました。
ハーブからその一部の成分が抽出されるようになり、続いてその成分から化学合成薬が誕生することによって、日々の体調管理のためや、また薬として使われてきたハーブは、化学合成薬にその役割を徐々に譲ることになったのです。
ハーブの利用法の発展
医療において人々とハーブの関わりが、化学合成薬の登場によってそれまでの時代よりも遠ざかる流れの一方で、ハーブをより精妙な形で、成分や薬効を超えてその”性質”や”形態”に注目した利用方法も、開発されてきた時代でした。
そうした新たな視線で発見されたハーブの利用方法(近代のハーブII / 近代のハーブIV を参照)は、それまでの伝統的なハーブの利用法をさらに深めるものとも言えるでしょう。また同時に、化学合成薬や現代医療の弊害によって昨今見直されてきている代替療法の萌芽でもありました。
近代の人々の生活としては、市民社会が成立し、資本主義社会が生まれることによって、それまで一部の階級の人々だけが享受していたハーブの利用法が、より身近な生活へ浸透し、ハーブも商品化されていくという流れもありました。それら商品化されたハーブは、現代のハーブを元にした商品にも続いていきます。
この時代にハーブとハーブを取り巻く世界に起きた出来事を、具体的に次の記事からご紹介していきます。