現代のハーブ

現代のハーブII – ハーブと”サプリメント”

現代のハーブII – ハーブと”サプリメント”

ハーブの新しい形=”サプリメント”

現代、ハーブが再び注目されるようになった理由を、もう一度振り返りましょう。

すでに述べたように、

化学薬品の副作用が問題になった

薬の副作用

ハーブの専門家アール・ミンデルは、その著書『ハーブバイブル』の中で、「化学薬品には、すべて副作用があるため。効果さえないこともある」と述べています。

このように、メディカルハーブに取って変わった化学薬品は、期待されていたほど万能でなかった、ということが、その理由です。

特に、医師の処方なく薬局で購入できる化学薬品(アスピリン、アセトアミノフェン、抗ヒスタミン薬など)について、その有害性もミンデルは述べています。

アール・ミンデル博士

アール・ミンデル(Earl Mindell, 1940~)は、カナダ生まれの医師、植物学修士。栄養学についての貢献が大きく、多くの著書がある。

そして、積極的な理由として、

予防薬への関心が高まった

という理由があります。

ハーブは健康のために積極的に、強壮剤・ビタミン剤としても利用されるようになります。

こうした流れができる基礎として、医学や健康についての人々の考え方に、「食生活や生活習慣が、健康状態を左右する」という認識が定着してきたことは重要です。病気や不健康は、避けることのできない不運なものではなく、普段からの生活の中で作られていくもの、そしてその生活習慣こそが健康を作るものだという積極的な意識です。

健康的な野菜の食事

現代のハーブの利用の大きな理由は、このような「QOL(クオリティー・オフ・ライフ、生活の質)」を高めようとする積極的な意識に大きく支えられています。
もちろん、国によっては”医療”として、病気の治療にメディカルハーブが利用されることさえあります。

健康のためのサプリメントとして

近代、化学合成薬が誕生したことを経て、ハーブもその形状に新たな形を誕生させます。見た目的には合成薬と変わらない錠剤やタブレット、粉末のような形をしたハーブ(またはハーブから抽出した成分)が、”サプリメント”として利用されるようになります。

サプリメントの定義

日本で通常「サプリメント」と呼ばれるものは、アメリカの食品区分のひとつ「ダイエタリー・サプリメント(dietary supplement)」に当たるものを指しています。その定義は、

「不足しがちなビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養補給を補助することや、ハーブなどの成分による薬効の発揮が目的である食品」(Wikipediaより)

とされています。

食事の補助としてのサプリメント

食事の補助としてのサプリメントの利用が好ましい

日本で”サプリメント”と呼ばれる、主にビタミン・ミネラルなど栄養を補給するための製品は、アメリカでは「ダイエタリー・サプリメント(Dietary supplement)」、ヨーロッパでは「フード・サプリメント(Food supplement)」と呼ばれます。

アメリカでのサプリメントの定義

アメリカでは、1994年に「栄養補助食品健康教育法」(ディーシェイ、DSHEA:Dietary Supplement Health and Education Act)によってダイエタリー・サプリメントの定義がなさました。

これによると、ダイエタリー・サプリメントは「ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸のいずれかを含み、通常の食事を補うことを目的とするあらゆる製品(タバコを除く)」と定義されています。

ヨーロッパでのサプリメントの定義

またヨーロッパでは、”フード・サプリメント”は「通常の食事を補足する目的で、栄養的・生理学的作用のある1つ以上の栄養素・食品成分を濃縮したものを含有した錠剤、カプセル、粉末、液状アンプルなどの少量で摂取できる形状になった製品であること」と定義されています。

食品として、ハーブティーや料理に使うなど、従来からのハーブも人気が高まっている現在のハーブですが、このように、健康に効果のある医薬品に近い位置にある”サプリメント”が生まれたのが、現代のハーブの特徴です。

> 現代のハーブIII – ハーブ周辺の法律と事情:アメリカ