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チリ

チリ

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学名:Capsicum annuum
分類:ナス目ナス科トウガラシ属
和名:トウガラシ、唐辛子、蕃椒
英名:chile pepper、sweet pepper、cayenne pepper、red pepper
漢方薬名:辣椒
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日本では”唐辛子”また”鷹の爪”とも呼ばれポピュラーなチリ(チリペッパー)は、赤道に近い熱帯地方の料理の必需品です。
さまざまな種類があり、辛味のないピーマン、シシトウ、パプリカも同じ「トウガラシ」に分類されますが、スパイスとして利用されるのは、辛味のある種類です。

<原産地>
中南米

<使用部位>
果実

<形態>
数千もの種類があり、品種・産地によって味・色などが異なります。緑から熟し赤くなる果実の中は空洞で、種を含みます。種は果皮よりさらに強い辛味を持ちます。乾燥に弱いので、十分に水を与えます。

緑色のチリ

赤くなる前の緑色のチリ。辛味がより強い。

<栽培>
春に種まきし、初夏~秋に開花します。目安として、夜間の気温が20度以上になる時期の種まきが発芽しやすいでしょう。土は、種が隠れる程度に少量かぶせます。
一年草で、寒さに弱く冬は越せません。
日光を好み、十分日差しのある場所で栽培します。
植え替えは、4月中旬頃、十分暖かくなってから行います。また連作障害があり、ナス科の植物を前年に育てた土では育ちません。

<収穫>
白い花が咲いた後、2週間以上経過して実を収穫します。
種類によって、実の色(緑~赤)がどの時期に収穫すると良いかが異なります。
青い実の時期に収穫できるのは、ハラペーニョ、ハバネロなどですが、ハバネロは赤くなってからの収穫のほうが最適。
実が赤くなって収穫するのは、ジョロキア、タバスコなどです。

チリの白い花

チリの白い花

<歴史>
中南米が起源で、メキシコでは紀元前6000年までその利用が遡れます。また1万年以上も前から栽培されていたとも言われるほどの古い歴史があります。
現在、エスニック料理などでよく利用されますが、中南米から世界各国への伝達は、15世紀になってからです。
ネイティブアメリカンによって初めて血流の改善のために利用され、アメリカへ殖民した人々も、凍傷や風邪、傷、関節の痛みに対して利用しました。

<用途>
主に料理で辛味を加えるために利用されます。
世界中で見られるチリですが、辛味が強いので有名なのが、ハバネロ(日本の唐辛子の約6倍の辛さ)で、辛味が強いのですが柑橘類の香りも含んでいます。さらにオーストラリア産のトリニダード・ピオン・ブッチTという種類は、ハバネロの5倍の辛さとも言います。逆に辛味が穏やかなのはメキシコでよく食される青いハラペーニョです。
また最近では食用以外に、主要成分カプサイシンの保温効果から、カプサイシンを練りこんだ衣類(下着や靴下など)も商品化されています。

ハバネロ・チリ

ハバネロ・チリ

宮古島の"島唐辛子"

宮古島の”島唐辛子”

<主要成分・作用>
・カプサイシン(アルカロイド):辛味成分(発汗、強心作用)

その他の主要成分
・ビタミンA:髪の健康維持、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、呼吸器系の保護
・ビタミンC:夏バテ防止、風邪予防、疲労回復
・ビタミンE:強い抗酸化作用(生活習慣病予防)
・カロテノイド(β-カロテン、カプサンシン、ルテイン、クリプトカプシン):抗発ガン作用、免疫賦活作用(=β-カロテン)

<薬理作用>
◎カプサイシンの作用:
血流促進(手足の冷え防止)、発汗促進、脂肪燃焼(肥満予防)、唾液・胃酸分泌のコントロール、消化管運動亢進、傷の痛み軽減(痛みの神経伝達をブロック)

★注意:
カプサイシンは粘膜に刺激があるため、食べ過ぎると胃の粘膜を傷つけることもあります。チリに触れ調理した手で目をこすったりしないように(焼けるような刺激性あり)。