ハーブの中には、人体に有害となる毒を持つものもありますが、私たちが医師の処方なしに日常入手できるのは「食品」として販売されているものです。そのため、作用の激しい「医薬品」とは異なり、非常に危険性のあるハーブは手に取ることも少ないです。
しかし、食品としてのハーブでも、利用する人の体調や年齢などによって、注意しなければならない点があります。こうしたことから、ハーブの摂取に対しての安全性基準が設けられています。
ハーブを利用する場合は、体調などに合わせて摂取量や摂取の有無を検討するハーブの利用についての安全性を確認しましょう。
例えば、米国ハーブ製品協会(AHPA)は、約650品目のメディカルハーブについて、クラス1から4までの安全性評価を行っています。クラスの数字が小さいほうが、安全性が高くなります。(*2)
- クラス1:適切な使用方法で、安全に摂取できるハーブ
- クラス2(2a~2dまで4段階の区分):専門家の指示がない場合、以下の使用制限があるハーブ
- 2a:外用のみ使用可能
- 2b:妊娠中に使用しない
- 2c:授乳期間中に使用しない
- 2d:注釈にあるような他の特定の使用制限がある - クラス3:勧告文「医療従事者の監督下でのみ適切に使用すること」と、適正な使用情報ががラベルに記載されているハーブ
- クラス4:十分なデータのないハーブ
(注 *2)詳細は書籍『メディカルハーブ安全性ハンドブック』監修:特定非営利活動法人メディカルハーブ協会)
ハーブの初心者や一般の方が安心して利用するには、「クラス1」のハーブが安心です。
ポピュラーなハーブの中で、クラス2以上のハーブには、以下のようなものがあります。
- イチョウ(葉部):「クラス2d MAO阻害薬に影響を与える可能性」(*MAO阻害薬:鎮痛系の薬)
- スギナ(葉茎):「クラス2d 心臓または腎臓の機能不全に禁忌」
- セージ(葉部):「クラス2b 妊娠中に使用しない」「クラス2d 長期の服用不可」
- セントジョンズワート(開花時の地上部):「クラス2d MAO阻害薬を増強する」
- ダンディライオン(根部):「クラス2d 胆道閉塞・重篤な胆のう炎・腸閉塞に禁忌」
- フラックスシード(種子):「クラス2d 少なくとも150mLの水分とともに摂取すること。腸閉塞には禁忌。腸に炎症がある場合は予め十分に水を含ませてから服用することが望ましい。」
- ブラックコホシュ(根部、根茎部):「クラス2b 妊娠中に使用しない」「クラス2c 授乳期間中に使用しない」
- マテ(葉部):「クラス2d 適量、あるいは長期の使用は不可」
その他、ハーブを扱う際に注意すべき安全面として、以下の点に留意しましょう。
ハーブ利用のための安全面
- 年齢を考慮する:乳幼児に利用してよいものかどうか。
一般的には、3歳未満の乳幼児には、精油(エッセンシャルオイル)はお風呂に入れる以外の利用は避けます。また、幼児にハーブティーを与える場合には、薄めて飲ませます。 - 似て異なるハーブではないか?
ハーブには異名のあるものもあります。特に効果を狙って利用する場合には、異なるハーブでないか確認すると良いでしょう。学名を確認することが、確実な方法です。 - ハーブの鮮度や異物混入はないか?
信頼できる入手元を選び、保管時の安全にも気をつけましょう。 - 薬との飲み合わせ
医薬品を常用している方は、その薬とハーブの組み合わせの安全性を確認しましょう。医師や薬剤師への確認が良いでしょう。
上記の安全性に十分注意して、楽しいハーブ生活を送りましょう。