目次
- 1 1.ヨーロッパから新大陸へ運ばれたハーブ:36種(ピックアップ)
- 1.1 ヨーロッパからアメリカ大陸へ運ばれたハーブ
- 1.1.1 1.エルダーベリー [学名 Sambucus L.]
- 1.1.2 2.リンデン [学名 Tilia Europaea L.]
- 1.1.3 3.クィーン・アンズ・レース [学名 Daucus carota]
- 1.1.4 4.コモン・ネトル [学名 Urtica dioica]
- 1.1.5 5.タンジー [学名 Tanacetum vulgare]
- 1.1.6 6.クレソン [学名 Nasturtium officinale]
- 1.1.7 7.ワームウッド [学名 Artemisia absinthium]
- 1.1.8 8.マグワート [学名 Artemisia vulgaris]
- 1.1.9 9.サザンウッド [学名 Artemisia abrotanum]
- 1.2 “薬”としてヨーロッパからアメリカ大陸へ運ばれたハーブ
- 1.2.1 10.ジャコウノコギリソウ [学名 Achillea moschata, Achillea erba-rotta subsp. moschata]
- 1.2.2 11.ヤロー [学名 Achillea millefolium]
- 1.2.3 12.キャットニップ [学名 Nepeta cataria]
- 1.2.4 13.セイヨウオオバコ [学名 Plantago major]
- 1.2.5 14.タンポポの亜種 [学名 Taraxacum officinale](セイヨウタンポポ)
- 1.2.6 15.ホーハウンド(ホアハウンド) [学名 Marrubium vulgare]
- 1.2.7 16.ルー [学名 Ruta graveolens]
- 1.2.8 17.スベリヒユ [学名 Portulaca oleracea]
- 1.2.9 18.フユアオイ [学名 Malva verticillata]
- 1.3 食材として、アメリカ大陸へ運ばれたハーブ
- 1.3.1 19.ベルガモット [学名 Citrus bergamia]
- 1.3.2 20.ボリジ [学名 Borago officinalis]
- 1.3.3 21.カモミール [学名 Matricaria recutita(ジャーマンカモミール), Chamaemelum nobile(ローマンカモミール)
- 1.3.4 22.チコリー [学名 Cichorium intybus]
- 1.3.5 23.コリアンダー [学名 Coriandrum sativum]
- 1.3.6 24.ディル [学名 Anethum graveolens]
- 1.3.7 25.フェンネル [学名 Foeniculum vulgare]
- 1.3.8 26.ガーリック・マスタード [学名 Alliaria petiolata]
- 1.3.9 27.ミント [学名 Mentha L.]
- 1.4 ヨーロッパ以外の地域原産のハーブ
- 1.4.1 28.レモングラス [学名 Cymbopogon citratus]
- 1.4.2 29.アサ(麻、マリファナ) [学名 Cannabis L.]
- 1.4.3 30.ミツバ(=ジャパニーズ・パセリ) [学名 Cryptotaenia canadensis subsp. japonica]
- 1.4.4 31.イエロー・マスタード(カラシナ) [学名 brassica juncea]
- 1.4.5 32.ローゼル [学名 Hibiscus sabdariffa]
- 1.4.6 33.シソ [学名 Perilla frutescens var. crispa]
- 1.4.7 34.水ホウレンソウ(空芯菜) [学名 Ipomoea aquatica]
- 1.4.8 35.マージョラム [学名 Origanum majorana]
- 1.4.9 36.ユーカリ [学名 Eucalyptus]
- 1.1 ヨーロッパからアメリカ大陸へ運ばれたハーブ
近世のハーブの世界は、大航海時代による他地域への進出によって、ヨーロッパにおけるその利用と研究が広がったことが、特徴です。大航海時代に続き、ヨーロッパ諸国による東方・新大陸への植民地化もまた、その地の食文化やハーブと融合していき、新しいハーブ利用と食文化が広がりました。
1.ヨーロッパから新大陸へ運ばれたハーブ:36種(ピックアップ)
1623年、メイフラワー号で北アメリカへ渡ったピルグリム・ファーザーズ(*)が、ヨーロッパから新大陸へハーブを持ち込み、それらのハーブは医薬品としても使われました。
- 注*)ピルグリム・ファーザーズ:16世紀、エリザベス1世により確立したイギリス国教会は、当時のジェームズ1世によりその信仰が強制されましたが、教会の改革を主張し信仰の自由を求めた清教徒たちは、その迫害から逃れ、1620年にメイフラワー号に乗って、アメリカのプリマスに渡りました。このアメリカに渡った清教徒たちのことをピルグリム・ファーザーズと呼びます。
当時のヨーロッパからの植民者のための食品リストには、ハーブは含まれず、”シナモン、クローヴ、メース、ナツメグ、コショウ”といった、スパイスのみが記載されていました。食品の保存効果のあるスパイスは、それだけ重宝されていたのでしょう。
また、植民者たちが最初に上陸したマサチューセッツ州プリマスの医師は、48種類以上のハーブをヨーロッパへ注文し、その後、それらのハーブはアメリカ大陸で野生化したという記録もあります。
ヨーロッパからアメリカ大陸へ運ばれたハーブ
ヨーロッパからアメリカ大陸へ運ばれたハーブには、以下のようなものがあります。
- エルダーベリー、リンデン、クイーン・アンズ・レース、コモン・ネトル、タンジー、クレソン、ワームウッド、マグワート、サザンウッド、など
1.エルダーベリー [学名 Sambucus L.]
ヨーロッパ原産で、イギリス植民地時代にアメリカ大陸へ運ばれました。
エルダーベリーは、エルダーという低木の果実です。ヨーロッパでは石器時代から利用され、ギリシャ・ローマ時代には万能薬としてのハーブとして知られていました。
2.リンデン [学名 Tilia Europaea L.]
ヨーロッパ原産で、ヨーロッパ以外では唯一メキシコで、ハーブティーとしてよく飲まれています。もともとメキシコには、固有種のリンデンがあったため、と言われます。
3.クィーン・アンズ・レース [学名 Daucus carota]
ヨーロッパの温暖な地域から南西アジアが原産。北アメリカとオーストラリアへ渡り帰化しました。
クィーン・アンズ・レースは野生のニンジン(ワイルド・キャロット)の一種で、成長の早い段階の根が食用として利用されます。
4.コモン・ネトル [学名 Urtica dioica]
北ヨーロッパ~アジア~北アフリカの原産。コモン・ネトルの和名は「セイヨウイラクサ」ですが、これとは別に、「イラクサ」と呼ばれるものは日本で野生として見られる種で、セイヨウイラクサとは別のものです。
5.タンジー [学名 Tanacetum vulgare]
アジア・ヨーロッパ原産で、北アメリカへ伝わった後に、帰化しました。
強い香りがあり、植物全体に毒性を持つ成分も含まれています。古来から薬草として使われたり、強い香りを生かし、食品の風味付けなど食用にも利用されていました(現在は、毒性のために食用としては避けられます)。
6.クレソン [学名 Nasturtium officinale]
ヨーロッパ原産で、南北アメリカやアジア、オセアニアへ伝えられました。イギリスには数種の品種がありますが、繁殖力がとても旺盛で、食用として主に利用されます。
7.ワームウッド [学名 Artemisia absinthium]
ヨーロッパ原産。北~中央アジア、北アフリカや東アジアにも分布しており、ヨーロッパから北アメリカへ伝えられました。日本では”ニガヨモギ”の名で知られるハーブです。
駆虫効果があるため、お腹の虫下し薬として有名で、また防虫剤としても利用されます。
毒性のある成分ツヨシを含むため、利用には注意が必要です。
8.マグワート [学名 Artemisia vulgaris]
ヨーロッパ/北アジアの原産。日本では”ヨモギ”の名で親しまれ、雑草としてどこにでも見られるハーブです。
邪気を払うハーブとして儀式で使われることもあった一方、食用や民間薬としても利用されていました。
9.サザンウッド [学名 Artemisia abrotanum]
地中海原産で、1672年に北アメリカへ伝わりました。
和名「キダチヨモギ」で、上の2つと同じ”ヨモギ”の仲間です。レモンのような香りを放ち虫除けに利用されますが、ハーブティーとしても飲用されます。
“薬”としてヨーロッパからアメリカ大陸へ運ばれたハーブ
ヨーロッパにおいて”民間薬”として利用されていたハーブは、新大陸へも”薬”として運ばれました。以下のようなハーブが”薬”として運ばれ、これらはその後、アメリカ大陸で野生化しています。
- ジャコウノコギリソウ、ヤロー、キャットニップ、セイヨウオオバコ、タンポポの亜種、ホーハウンド、ルー、スベリヒユ、フユアオイ、など
10.ジャコウノコギリソウ [学名 Achillea moschata, Achillea erba-rotta subsp. moschata]
ヨーロッパ/アジア温暖地域の原産。英名「Chinese yarrow」。
ノコギリソウの仲間で、とても小さな植物ですが、強い香りを持っています。
11.ヤロー [学名 Achillea millefolium]
ヨーロッパ原産。
古代ギリシャですでに栽培されており、その葉は悪霊を追い払うための魔除け・お守りにも利用されました。
また古来から、ヤローの止血、抗ウイルス・抗炎症作用が知られており、薬用植物として親しまれてきました。
12.キャットニップ [学名 Nepeta cataria]
ヨーロッパ/アジアの原産。英名「Catnip(キャットニップ)」、和名「イヌハッカ」。
発汗・鎮痛・解熱作用が知られており、古代ローマ時代より民間薬として利用されていました。
13.セイヨウオオバコ [学名 Plantago major]
ヨーロッパ/北アフリカの原産。英名「Greater Plantain、Common Plantain」、和名「西洋大葉子(セイヨウオオバコ)」。世界各地で雑草として帰化しています。
その葉が薬草として、傷や、ヘビに噛まれた際の治療に利用されていました。
14.タンポポの亜種 [学名 Taraxacum officinale](セイヨウタンポポ)
ヨーロッパ原産。ヨーロッパのタンポポ属は、400種~2000種の種類があると言われます。セイヨウタンポポはヨーロッパ原産。世界中の多くの地域に、外来種として分布しています。
セイヨウタンポポは緩下(かんげ)・健胃・利尿・催乳効果のある薬草として利用される一方、古くから東ヨーロッパ~中東ではサラダなどに利用する食用でもありました。現代でも、根を乾燥させて炒ったタンポポコーヒーは有名です。アメリカに渡った後は、一部の地域でタンポポワイン(醸造酒)の原料にもなっています。
15.ホーハウンド(ホアハウンド) [学名 Marrubium vulgare]
イギリス/地中海沿岸の原産。英名「horehound」、和名「ニガハッカ」。
ニガハッカの名のとおり、強い苦味と芳香を持ち、古代エジプトでは咳止めとして利用された歴史もある薬草です。鎮咳・去痰作用のあるハーブティーとしても利用されます。
16.ルー [学名 Ruta graveolens]
地中海沿岸の原産。英語名「ルー(rue)」あるいは「コモンルー(common rue)」と呼ばれる。和名「ヘンルーダ」。
古代ローマ時代から万能薬として利用されました。ヨーロッパ中世の修道院では、ミサの洗礼に悪魔払いのために利用された歴史もあります。発熱や月経不順のほか、ヒステリーに対しても利用されますが、古くから「精神の狂気を解毒する」と信じられていたことも、その薬効から理解できるでしょう。
17.スベリヒユ [学名 Portulaca oleracea]
インド原産(北アフリカやイラン原産の説もあり)。南ヨーロッパへ伝えられた後、世界へ渡りました。英名「コモン・パースレーン(Common Purslane)」。
熱帯から温帯にかけて、世界中に広く分布します。畑にとっては雑草ですが、食料として栽培される地域もあり、トルコやギリシャでは生または炒めてサラダとして食べます。解熱、解毒に利用される民間薬でもありました。
18.フユアオイ [学名 Malva verticillata]
中国/亜熱帯アジア原産(ヨーロッパ原産の説もある)。英名「チャイニーズ・マロー(Chinese mallow)」。
中国の漢方では「冬葵子(とうきし)」と呼ばれ、利尿・緩下(かんげ)・催乳作用のある生薬として利用される一方、食用の野菜や、お茶としても利用されます。
こうしてみると、大航海時代を経てヨーロッパによる植民地政策により、ヨーロッパ以外の地原産のハーブも、アメリカ大陸へ運ばれていることが分かります。
食材として、アメリカ大陸へ運ばれたハーブ
さらに以下は、食材として、植民者によりアメリカ大陸へ運ばれたハーブです。
- ベルガモット、ボリジ、カモミール、チコリー、コリアンダー、ディル、フェンネル、ガーリック・マスタード、ミント、など
19.ベルガモット [学名 Citrus bergamia]
植民地化以前にも、アメリカ大陸にはすでに”ワイルドベルガモット”が存在していました。主な産地は現在でもイタリアのため、原産地はイタリアとされたり、また、コートジボワール原産という説や、クリストファー・コロンブスがカナリア諸島で発見してスペイン・イタリアに持ち帰ったという説もあります。
20.ボリジ [学名 Borago officinalis]
和名「ルリジサ(瑠璃苣)」。1630年、北アメリカのニューイングランドの地で使用されたという記録があります。
古代ギリシャ・ローマ時代には、抗うつの薬効が知られ利用されていました。食用としては、主に葉をサラダとしたり、種子を圧搾してオイルとして利用しました。
21.カモミール [学名 Matricaria recutita(ジャーマンカモミール), Chamaemelum nobile(ローマンカモミール)
ジャーマンカモミールは、ヨーロッパ~アジア西部原産。ローマンカモミールは地中海沿岸原産。
4千年前のバビロニアですでに利用されていたカモミールは、ヨーロッパでもっとも古い民間薬です。現在でもハーブティーとしてポピュラーで、催眠・鎮痛効果で知られます。食用利用としては、主にジャーマンカモミールのハーブティーや、お料理への香り付けとされました。
22.チコリー [学名 Cichorium intybus]
地中海原産(ヨーロッパから中央アジアにかけての地域が原産という説もあり)。英名「チコリー(chicory)」
北アメリカに持ち込まれた後は帰化し、道路わきなどで雑草のなか見つけることができます。
食用としては、苦味のある葉や根を主にサラダとしたり、ソテーなど火を通した料理にも利用します。根を炒ったチコリー・コーヒーは栄養価が高いことで有名です。
23.コリアンダー [学名 Coriandrum sativum]
地中海東部原産。コリアンダーは古くから食用として利用されており、スペイン人によりアメリカ大陸へ渡りました。
種はスパイスとして有名ですが、葉は主にアジアなどでサラダとして食されます(タイの”パクチー”、中国の”香菜”にあたります)。
24.ディル [学名 Anethum graveolens]
西南アジアから中央アジア(ペルシャとインドと言われることも)が原産。地中海沿岸にも早くから広まっていたため、ヨーロッパ南方原産と述べられることもあります。
英名「ディル (dill)」、和名「イノンド(蒔蘿、Anethum graveolens)」。
食用としては、種子や葉を香り付けに利用されます。葉は、塩漬けやスープにも利用されます。
25.フェンネル [学名 Foeniculum vulgare]
地中海沿岸原産。英名「フェンネル(Fennel)」、和名
ウイキョウ(茴香)」または「ショウウイキョウ(小茴香)」。
古代エジプトや古代ローマで栽培されていた記録があり、歴史上もっとも古い作物のひとつとされています。
食用としては、その甘い香りから主にスパイスに利用されますが、鱗茎(葉柄基部が肥大したもの・球根)は野菜として、サラダや煮込み料理にも利用されます。
26.ガーリック・マスタード [学名 Alliaria petiolata]
ガーリック・マスタードは、ヨーロッパ原産の雑草で、”香味ハーブ”とされます。
名前のとおり、ガーリック(ニンニク)とマスタードの匂いがすることから香り付けのための利用されますが、根から出す物質の殺菌作用のために同じ土地にある他の植物が枯れてしまことが、近年問題になっています。
27.ミント [学名 Mentha L.]
地中海沿岸原産。 変種が出来やすく、その主は600種を超えると言われますが、ポピュラーなものにスペアミント系とペパーミント系があります。
食用としては、清涼感ある香りから、料理や菓子の香り付けや、薬用酒の材料として利用されます。
ヨーロッパ以外の地域原産のハーブ
もともとヨーロッパ以外の地域が原産のハーブも、大航海時代や、あるいは古代からの交易によってヨーロッパに伝わり、その後の近世に、アメリカ大陸に伝わっていったハーブの例として、以下のものが挙げられます。
- レモングラス、アサ、ミツバ、イエロー・マスタード、ローゼル、シソ、水ホウレンソウ、マージョラム、ユーカリ、など
28.レモングラス [学名 Cymbopogon citratus]
南インド・スリランカ原産。その名の通り、レモンのようなフレッシュな香りがあるため、さまざまな料理に香り付けとして利用されます。
29.アサ(麻、マリファナ) [学名 Cannabis L.]
中央アジア原産。実には、大豆に匹敵する高い栄養価があり、圧搾した油として料理に利用されます(日本国内では栽培は禁止です)。古くは中東で栽培され、また中国でも古来より薬用植物として利用されていました。
30.ミツバ(=ジャパニーズ・パセリ) [学名 Cryptotaenia canadensis subsp. japonica]
アジア原産。ハワイにも帰化している。英名「Japanese honeywort」。
野菜として、さまざまな料理に利用されます。
31.イエロー・マスタード(カラシナ) [学名 brassica juncea]
アジア原産。古代にヨーロッパへ渡った後、アメリカ大陸と太平洋の島へ運ばれました。大航海時代前までは、ヨーロッパでは唯一の「辛いスパイス」でした。
“マスタード”には、イエロー・マスタードまたはブラウンマスタード(カラシナ)、ホワイトマスタード(シロガラシ)、クロガラシなどがありますが、シロガラシ・クロガラシは南ヨーロッパ/地中海沿岸の原産です。
32.ローゼル [学名 Hibiscus sabdariffa]
南アジア(インド・マレーシア)原産。西アフリカ原産の説もあり、食用花としてアフリカで有史以前から利用されていましたが、奴隷貿易と同時にアメリカ大陸へ運ばれてきました。
ハイビスカス・ティーとして知られるのは、ハワイなど南国の花として有名な”ハイビスカス”ではなく、ローゼルのお茶のことです。
33.シソ [学名 Perilla frutescens var. crispa]
ヒマラヤやビルマ、中国、東南アジアなどが原産とされます。アメリカ東部とカナダ・オンタリオ州では、害草とされています。
シソにはたくさんの品種がありますが、食用に利用されるのは、主にアオジソとアカジソです。日本でも香り付け(薬味)として料理に添えられることでお馴染みです。
34.水ホウレンソウ(空芯菜) [学名 Ipomoea aquatica]
東アジア原産。呼び名は「ヨウサイ」や、中国語で「空心菜(コンシンツァイ)」、「通菜(トンツァイ)」など、さまざまに呼ばれます。
野菜として主に炒め物に利用され、東南アジア料理には欠かせない野菜です。また、オーストラリアの先住民族アボリジニにも利用されていました。
35.マージョラム [学名 Origanum majorana]
北アフリカ/西アジア原産。古代ギリシャ時代にヨーロッパに伝わり栽培され、後にアメリカ大陸へ渡りました。
中世イギリスでは、ビール作りの苦味成分として使用されました。マージョラムは通常、スパイスとして、また沈静、抗不安作用のある精油として利用されます。
36.ユーカリ [学名 Eucalyptus]
オーストラリア原産。抗炎症作用があり、古来よりオーストラリア先住民アボリジニは、傷を癒すのに葉を利用していました。
ヨーロッパへ渡ったのは割合と新しく、1788年前後と言われます。
また、それらのハーブにまぎれて、”雑草”も意図せず運ばれています。
“雑草”の定義は微妙ですが、「新しい土地で蔓延(はびこ)りやすい」という特徴があるでしょう。
そうした”雑草”のひとつに「タンポポ」が挙げられます。
以上、新大陸へ運ばれたさまざまなハーブを紹介しましたが、食用・薬用の違いについては、その区別は便宜的なもので、実際は、食用として運ばれたと言われるものが古くから民間薬として利用されていたり、民間薬としてポピュラーなハーブが同時に料理やティーとして口に入れられることもあったりと、その区分や利用方法にはかなり幅があったでしょう。
また、原産地についても、ヨーロッパ以外の原産のハーブも、古代からヨーロッパで利用されたハーブは、ヨーロッパ原産のハーブと同じほど馴染みがあり、生活に必須のハーブとして植民者たちのために新大陸へ運ばれたでしょう。こうした点は、現代でも引き続き、ハーブについて述べられることのようです。
植民地時代のハーブはこのように、生活に根ざしたハーブが広く世界へ渡って行った時代でした。