現代のハーブ

現代のハーブIV – ハーブ周辺の法律と事情:ヨーロッパ

ハーブ周辺の法律と事情:ヨーロッパ

現代では、ハーブやメディカルハーブは、主に医薬品との関係で、法律で規制がされています。その事情は各国で異なっていますが、アメリカに引き続き、ヨーロッパについての状況を、ご紹介します。

各国のハーブとサプリメント:法整備の歴史

ハーブ周辺の法律と事情:ヨーロッパ

概要

ヨーロッパでは、ハーブの安全性評価が行われた後、メディカルハーブは「ハーブ医薬品」として扱われるようになりました。これにより、ハーブとサプリメントの市場に広くメディカルハーブが流通することになりました。

さらに”医薬品ハーブ”に分類されるハーブのリストも作成されています。
ハーブ医薬品は化学薬品と同じように、薬局で陳列されており、購入することができます。

ファーマシー(薬局)に並ぶ、さまざまなサプリメント

ファーマシー(薬局)に並ぶ、さまざまなサプリメント

またハーブ・サプリメントについては、現在、EUには”フード・サプリメント(food supplement)“を規定する様々な法律が存在します。 フード・サプリメントに規定されるハーブ製品は、錠剤、カプセル、粉末、液状アンプルなどの薬に近い形として認可されています。

さまざまな形状のサプリメント

さまざまな形状のサプリメント

ヨーロッパにおける”フード・サプリメント”は、「通常の食事を補足する目的で、栄養的・生理学的作用のある1つ以上の栄養素・食品成分を濃縮したものを含有した錠剤、カプセル、粉末、液状アンプルなどの少量で摂取できる形状になった製品であること」と定義されています。

ヨーロッパ:法整備の経緯
  • 1995年:欧州医薬品庁(EMA)が設立されました。これによりそれまで各国で研究されてきたハーブの基準が、統一化されることになりました。
  • 2001年:EUの理事会指令により医薬品管理・承認申請に係る法案がまとめられました。
  • 2004年:新たな理事会指令により、伝統薬・ハーブ医薬品についても、EU各国が医薬品管理法により取り組むように決められました。この後、ハーブ医薬品に関する法整備がヨーロッパで進んでいくこととなる重要な出来事です。
    これによりEU各国は、このEU指令に沿って国内でハーブを扱うよう、国内法の整備が行われることとなります。(2016年現在では、指令を国内法で執行しているのはドイツのみです)
  • 2009年:欧州食品安全機関(EFSA)が、すでに公表していた”ハーブの科学評価”に続き”安全性評価”も行うことになりました。
  • 2012年:”ハーブ医薬品”が公表されます。

現在(2016年)、EMAは”ハーブ医薬品”の認可を行う機関となっています。

ヨーロッパでは、ハーブが他の合成薬などと同じように”医薬品”とされるものもある点が特徴で、これはアメリカや日本にはない点です。

現在、ヨーロッパ各国のそれぞれの事情としては、

ドイツ

ドイツは、2001年のEU指令を国内法で執行した最初の国で、多くのメディカルハーブ製品が、医薬品として区分されています。また、伝統的な効能をうたうことのできるメディカルハーブのリストが作成されています。

さらにドイツ国内の薬事法は世界で最も厳しいといわれますが、ハーブが医薬品として認められるためには、

  • 使用するハーブは、過去10年間農薬不使用の証明がなされた畑で栽培されたもののみ。
  • ハーブに含まれる「薬効成分値」が、ドイツ薬事基準をすべてクリアしていること。

などの条件が必要です。これらをクリアしているハーブやハーブ製品は、文字通り世界最高水準のハーブといえるでしょう。

フランス

フランスは、2001年のEU指令を元に、国内法を検討中です。伝統的な効能をうたうことのできるハーブリストも作成されています。

フランス・エクサンプロヴァンスでのマーケット

フランス・エクサンプロヴァンスでのマーケット:ハーブやスパイスが並ぶ

フランスでは、次の3つの区分に分類されます。

  • 食品として自由に販売できるもの
  • 簡単な登録手続きで、医薬品として販売できるもの
  • 通常行われるきちんとした医薬品手続きが必要なもの
イギリス

2001年のEU指令を、国内法の医薬品法で検討中ですが、伝統的な効能をうたうことのできるハーブリストはありません。
ハーブは安全でかつ医薬品としての効能をうたわない限り、食品として販売されます。
ただし、若干の毒性の強いハーブのみ、販売できない規制があります。

ハーブの苗(イギリス, Hangleton)

ハーブの苗(イギリス, Hangleton)

ヨーロッパのハーブ事情:まとめ

これらヨーロッパの事情は、各国内の事情は多少異なるものの、ヨーロッパ全体として、ハーブの有効性が科学的な観点から認められているといえるでしょう。今後も各国が、その有効性を周知していく方向となることに、期待したいところです。

> 現代のハーブV – ハーブ周辺の法律と事情:日本