現代では、ハーブやメディカルハーブは、主に医薬品との関係で、法律で規制がされています。その事情は各国で異なっていますが、アメリカ、ヨーロッパに引き続き、日本についての状況を、ご紹介します。
各国のハーブとサプリメント:法整備の歴史
ハーブ周辺の法律と事情:日本
概要
日本では、ハーブ製品はまず、医薬品と食品の区別が行われた上で、安全なハーブは”食品”として扱われるようになりました。その後、効能を記さない限り、さまざまな形でサプリメントとして流通できるようになりました。
日本:法整備の経緯
- 1971年:厚生省が「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」を発表し、医薬品と食品の区別が行われるようになりました。
- 1987年:上記を一部改正した「いわゆるハーブの取り扱いについて」という通知により、安全なハーブが食品的取り扱いとなりました。
これにより、ハーブは、医薬的な効能効果を標榜しない限り、カプセル剤や錠剤、丸薬などで取り扱えることになりました。 - 1996年:アメリカの外圧による”市場開放問題苦情処理体制”により、サプリメント販売に関する規制緩和が決定されました。
- 2000年:厚生省が医薬品の規制緩和を行いました(日米欧州間で)。
これにより、栄養補助食品も緩和されることになり、「ビタミン、ミネラル、ハーブ」の商品が市場開放され、錠剤・カプセルなどの販売が認可されました。 - 2012年:日本健康・栄養食品協会が、安全性自主点検認証制度を作成しました。(2012年10月29日現在、原材料144品目、製品18品目が含まれる)
その後、厚労省により安全性のデータベース作成も計画中です。
日本では、ハーブやサプリメントはもっぱら”食品”の扱いで流通しています。ヨーロッパのように、いまだ薬品としては認可されていません。そのため、医薬品のような効能を記載することはできませんが、一方で、食品であるため用量の制限もなく流通できるという利点もあります。医薬品であれば規制のあるハーブでも、食品だからこそ自由に購入できるというわけです。
こうした面から、個人がハーブを消費する場合、その安全性について注意する必要があります。医薬品との飲み合わせに注意が必要なものもあるため、ハーブの利用は自己責任が大きい面があります。
成分が医薬品認定されたハーブの扱い
また、ハーブ自体は医薬品に含まれないものの、医薬品として登録されている”成分”が、あるハーブの中に含まれる場合、そのハーブ自体が一般的に流通できないことになります。サプリメントの場合も、医薬品とされている成分を配合することができません。
例えば、免疫を強化し滋養強壮に利用されてきたハーブのアシュワガンダは、2013年1月23日より医薬品成分に指定されたため、サプリメントの成分としてアシュワガンダを含むことができなくなりました。多くのサプリメントは、それまでのアシュワガンダに変わって他の成分を配合することで対応しているようです。
逆に、ヨーロッパなどでは”医薬品”に指定されいてるイチョウ葉は、日本では医薬品でなく食品であるため、用量の規定もなく入手することができます。しかしイチョウ葉には、ごく微量ですが、毒性成分が含まれるため、大量摂取にならないよう個人的に気をつける必要があります。
こうしたことから、伝統的に有効性の高いハーブも、医師の処方なしでは国内で販売・購入できない制限があり、また医薬品ほどに効果が認められているハーブでも、”食品”扱いで自己責任下での利用となっているのが、日本のハーブ事情の特徴でしょう。
欧米諸国に比べれば、日本ではまだまだ、ハーブの利用は「趣味・嗜好」の域にとどまっているともいえます。一方で、ハーブの人気が高まっていること、またハーブの普及と安全性の周知をめざして各協会などが働きかけていることには、今後のハーブ普及の期待となるところです。
ところで、日本でハーブが人気になってきた経緯としては、アメリカのハーブにまつわる事情が関係しています。
国民皆保険のないアメリカで、医療費を抑えるため有効性の高いメディカルハーブなどが公表され、人々が積極的に自分の健康維持に取り組みはじめた流れに、日本の事情も沿っているといえるでしょう。
アメリカのハーブ事情とその発展に即してみれば、日本も今後、安全性のさらなる研究、消費者に啓蒙しやすいラベル表示の認可などが進んでいくことが期待されます。